物語りの中心となるのは、ギリシア方の総大将アガメムノンと、もう一人の勇将アキレウスとの、捕虜にしたトロイア方の娘をめぐっての人間臭い確執だ。全体は「源平盛衰記」のような日本の戦記物さながら。映画「トロイ」の原典でもある。アキレウスが戦いを拒否し、ギリシア方の敗勢は濃くなる。アキレウスの無二の友パトロクロスはアキレウスの甲冑を借りて戦うことを思いつき、それによってギリシア勢はトロイア勢を城市の壁まで追い詰める。だが深追いしたパトロクロスはヘクトルに殺され、ヘクトルはアキレウスの甲冑を奪ってみずから身にまとい