煮えたぎる川
ペルーのアマゾンに眠る、伝説の正体を追い求めて。
「ペルーのジャングルの奥深くに、沸騰しながら流れる大きな川がある」。落ちれば命を落とすほどの熱湯。祖父から不思議な話を聞いた少年はその後、地質学者となって伝説の真偽を探求する旅に出る。
黄金の都市「パイティティ」は実在するのか? シャーマンが守ってきた神聖なる土地にも、開発と伐採は忍び寄る。
科学と神話が衝突し、融合する。すべてが「既知」になりつつある現代に「未知」への好奇心を呼び覚ましてくれる、スリリングな探検と発見の物語。
「おそらく現代の繁栄は、未来の人類滅亡を早めることで成り立っている」
Small books, big ideas. 未来のビジョンを語る。
人気のTEDトークをもとにした「TEDブックス」シリーズ日本版、第8弾。
「あらゆるものが調査され、測量され、理解されているような現代において、この川は、私たちがすでに知っていると思っていることに疑問を投げかける。既知と未知、古代と現代、科学とスピリチュアルの境界線を、私は否応なしに疑うことになった。この川は、未発見の驚異がまだたくさんあることを教えてくれる。
驚異は未知なる世界の漆黒の闇の中だけでなく、日常の『ホワイトノイズ』の中にもある――ほとんど気づかれないもの、忘れかけていたこと、ストーリーの枝葉にさえ、存在するのだ」(本書より)
アンドレス・ルーソ(Andres Ruzo)
アメリカ、ニカラグア、ペルーで育つ。彼の生い立ちは帰属するアイデンティティの危機を少々招いたものの、世界の問題は国境によって区切られるものではなく、エネルギーと資源が共通する根源だと教えてくれた。
そう気づいた彼は地熱学を研究する道に進んだ。アメリカの南メソジスト大学で地質学と財政学の学位を取得。
現在は同大学の地球物理学の博士課程に在籍している。環境に対する責任と経済の繁栄は両立できると信じ、その2つの目的を科学によって統合しようとしている。『ナショナルジオグラフィック』誌のエクスプローラー、熱心な科学コミュニケーター、教育コンテンツの情熱的な開発者でもある。
[訳者紹介]
シャノン・N・スミス
1978年、東京都でアメリカ人の父と日本人の母のあいだに生まれ、幼稚園から大学を中退するまですべて日本でアメリカ式の教育を受けて育つ。日英バイリンガル。
株式会社アドバンスト・メディアにて言語モデル開発者やSEとして勤務し、2014年に翻訳者・英語講師・マインドフルネスの講師として独立。日英/英日問わず幅広いジャンルの翻訳をこなし、過去にはTEDxHimiの翻訳チームで日英翻訳者兼プルーフリーダー、翻訳チームアドバイザーも担当。TEDxスピーカーとしての経験もある。翻訳書としては本書が初めて。