触楽入門 : はじめて世界に触れるときのように

著者 仲谷 正史著 筧 康明著 三原 聡一郎著 南澤 孝太著 是澤 ゆうこ絵

出版社 朝日出版社

出版日 2016-01-15

図書タイプ:PDF

対応機種:Windows 対応機種:iOS 対応機種:Android

貸出

つねにネットに接続し、皮膚感覚を失っていく私たち。さわってないのに、わかったつもりになっていませんか?

・触覚の錯覚は50種類超!
・さわり心地が思考をつくる?
・握手をするとき、握っている? 握られている?

私が感じている「触感」を記録・再生して、だれかに伝える。そんな装置を開発した著者が、触感の科学からモノ、心、身体、アートまで、忘れられている「触感の世界」をご案内します。私が感じる「この感覚」のふしぎに、目をひらく――触感テクノロジーの最前線!

この本は、触れるということの面白さを、だれでも気軽に試せる「問い」の形で紹介してゆきます。
触感を意識化するための実践トレーニングや、身体を動かして試してもらう項目もあります。

(---)本書を読んでいるみなさんが自分自身で感じながら考える、能動的に遊べる本として使って
いただければと思います。(「はじめに」より)

触感により引き起こされる情動は、理屈を超えた実感として、私たちの深いところに届く
(---)それは、この世界に受け入れられているという感覚をもたらし、私たちの毎日を支えるものに
なるでしょう。(終章より)

★14ページにわたる「触感年表」(監修:山本貴光)を収録!

★本書の内容の一部
・もしも触覚がなくなったらどうなる?
・人に信頼してもらうには、手があたたかい方がいい?
・ノイズがあったほうが感覚がするどくなる?
・目の見えない人が描いた触感の絵?
・触覚は「五感の交差点」?
・心が「ざらざら」するとき、実際に触感としてざらざらを感じている?
・テディベアに触れると死への恐怖がやわらぐ?
・他人の身体に起きた触覚を自分のものとして感じられる?
・周辺視野を指でたどると、身体感覚が拡張する?
・おでこが網膜の代わりになる?

仲谷正史(なかたに・まさし)
触覚研究者。博士(情報理工学)。現在、東京大学高齢社会総合研究機構特任研究員、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科特任准教授。
ハーバード大学、(株)資生堂にて触感覚の神経科学・心理学・計測工学の研究に従事。コロンビア大学医療センター皮膚科にて、やさしく触れられた時に
反応する生体センサ・メルケル細胞の研究で英科学誌Natureに掲載、触覚の教科書に新知見を書き加える。
2007年に立ち上げたテクタイルの活動を通じ、触感デザイン普及にも携わる。共著書に『触感をつくる』(岩波書店)。merkel.jp

筧康明(かけひ・やすあき)
2008年から慶應義塾大学環境情報学部で研究室を立ち上げ、現在同大学准教授。2015年3月からは、マサチューセッツ工科大学メディアラボ訪問准教授。
素材特性とデジタル技術を掛け合わせたインタラクティブメディアの開発、およびメディアアート表現を行う。これまでにArs ElectronicaやSIGGRAPHなど
国内外の学会、展覧会で研究・作品を発表し、平成26年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 若手科学者賞、グッドデザイン・ベスト100など受賞も多数。

三原聡一郎(みはら・そういちろう)
2006年情報科学芸術大学院大学卒業。アーティスト。音、泡、放射線、虹、微生物、苔など多様なメディアを用いて、世界に対して開かれたシステムを芸術として国内外で展開している。
音楽、美術、電子楽器など他分野とのコラボレーションにも積極的に取り組み、山口情報芸術センター在職時に未来の芸術への可能性として触覚に注目しテクタイルに参加。mhrs.jp

南澤孝太(みなみざわ・こうた)
2010年東京大学大学院情報理工学系研究科システム情報学専攻博士課程修了。博士(情報理工学)。現在、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)准教授。
触覚を活用し身体的経験を伝える触覚メディア・身体性メディアの研究を行い、SIGGRAPH Emerging Technologies 等における研究発表、
テクタイルの活動を通じた触感コンテンツ技術の普及展開、産学連携による触覚メディアの社会実装を推進。

■はじめに ――触楽への招待状
■1 触れるってどういうこと?
■2 私たちは外の世界をどのように知る?――科学からみた触覚
■3 なにかを感じるとき、いったいなにが起きている?――共通感覚としての触感
■4 触感は世界と「わたし」をつなげている
■5 実在感をつくり出す―テクタイル・ツールキットの発明
■終章 触感の未来
■付録 触感年表