年金、民主主義、経済学 (再分配政策の政治経済学 7)

著者 権丈 善一

出版社 慶應義塾大学出版会

出版日 2015-12-31

図書タイプ:PDF

対応機種:Windows 対応機種:iOS 対応機種:Android

貸出

年金破綻論など社会に蔓延する謬論を正してきた著者が、混迷の原因と民主主義が内包する問題を明快に指摘。そして、公的年金保険の意義と役割、一連の改革の内容を詳しく解説し、喫緊に取り組むべき課題を提示する。

年金破綻論など社会に蔓延する謬論を正してきた著者が、混迷の原因と民主主義が内包する問題を明快に指摘。そして、公的年金保険の意義と役割、一連の改革の内容を詳しく解説し、喫緊に取り組むべき課題を提示する。

慶應義塾大学商学部教授 博士(商学)
1962年福岡県生まれ。1985年慶應義塾大学商学部卒業、1990年同大学院商学研究科博士課程修了。嘉悦女子短期大学専任講師、慶應義塾大学商学部助手、同助教授を経て、2002年より現職。この間、1996年~1998年ケンブリッジ大学経済学部訪問研究員、2005年ケンブリッジ大学ダウニングカレッジ訪問研究員。
公務では、社会保障審議会、社会保障国民会議、社会保障制度改革国民会議、社会保障制度改革推進会議の委員や社会保障の教育推進に関する検討会の座長など、他にもいくつか引き受けたり、いくつかの依頼を断ったり、また、途中で辞めたり。
主要業績に、「医療介護の一体改革と財政 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅵ」(2015年)、「社会保障の政策転換 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅴ」(2009年)、「医療政策は選挙で変える ―― 再分配政策の政治経済学Ⅳ[増補版]」(2007年〔初版2007年〕)、「医療年金問題の考え方 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅲ」(2006年)、「年金改革と積極的社会保障政策 ―― 再分配政策の政治経済学Ⅱ」(2004年、労働関係図書優秀賞)、「再分配政策の政治経済学Ⅰ ―― 日本の社会保障と医療[第2版]」(2005年〔初版2001年、義塾賞〕)(以上、慶應義塾大学出版会)、「医療経済学の基礎理論と論点(講座 医療経済・政策学 第1巻」(共著、勁草書房、2006年)、翻訳としてV. R. フュックス著「保健医療政策の将来」(共訳、勁草書房、1995年)などがある。

はじめに
年金、民主主義 関連年表

第Ⅰ部 年金、民主主義、経済学

第1講 年金、民主主義、経済学Ⅰ
第2講 年金、民主主義、経済学Ⅱ
第3講 政策技術学としての経済学を求めて

第Ⅱ部 平成26年財政検証の基礎知識

第4講 解説 平成26年財政検証
第4講の補講 シンポジウムで準備していたけれども話せなかったことなど
第5講 Output is centralという考え方
第6講 年金、社会保障と少子高齢化
第7講 100年安心バカ
第8講 財政検証の積立金運用利回り前提
第9講 微妙に積立金をもつ賦課方式のワナ
第10講 公的年金、公的扶助、そして保険と税
第11講 公的年金保険は何のため?
第12講 日本の年金の負担と給付の構造

第Ⅲ部 混迷のなかで

第13講 民主主義とは「最大多数の最大幸福」か、それとも「多数の専制」か?
第14講 「市場」に挑む「社会」の勝算は?
第15講 政治的関心層の合理的無知がもたらした政治的帰結
第16講 政争の具にされてきた年金の現状 
第17講 運用3号とは何だったのか?
第18講 合成の誤謬考 ―― 企業の利潤極大化と社会の付加価値極大化は大いに異なる
第19講 大切なことは考え抜いた制度を作ること
第20講 公的年金論議のパラドックス
第21講 歴史の共有と人間の感情 ―― 礼儀と歴史
第22講 年金政局の歴史と一体改革
第23講 少子高齢化と社会保障
第24講 年金制度の過去、現在と未来
第25講 年金債務超過話の震源

第Ⅳ部 大混乱期が過ぎて

第26講 社会保険一元化はタケコプター
第27講 年金改革2段階アプローチ ―― 歴史的経緯を知ろう
第28講 年金と政治家のレベル ―― 政争の具とした愚行
第29講 「防貧」と「救貧」は異質 ―― 政策の実行可能性を考える
第30講 保険方式と税 ―― 実行可能性を問う次のステップ
第31講 2度目の好機、生かせるか ―― 民主党の年金案ゼロベース見直し
第32講 「将来のことを論ずるにあたっての考え方」と年金
第33講 この人民ありてこの政治あるなり
第34講 ホメオスタット機構としての年金制度と社会経済制度改革インセンティブ

第Ⅴ部 前途多難な社会保障教育

第35講 前途多難な社会保障教育
第36講 彼らが計算する世代間格差ははたして生活実感を表しているのか
第37講 過去の不毛な年金論議による社会的損失
第38講 給付負担倍率試算に関するスタンス

あとがき
主要参考文献
索引